University of Minnesota Human Rights Center

戦時海軍力ヲ以テスル砲撃ニ関スル条約  3 Martens Nouveau Recueil (ser. 3) 604, 205 Consol. T.S. 345, 効力発生一九一〇年一月二六日

第一条[砲撃の禁止]

 防守セラレサル港、都市、村落、住宅又ハ、海軍力ヲ以テ之ヲ砲撃スルコトヲ禁ス。

 執レノ地域ト、ソノ港前ニ自動触発海底水雷ヲ敷設シタル事実ノミヲ以テ、之ヲ砲撃スルコトヲ得サシメルモノトス。

第二条[事実上の工作物等を除外]

 右禁止中ニハ、軍事上ノ工作物、陸海軍建設物、兵器又ハ軍用材料ノ貯蔵所、敵ノ艦隊又ハ軍隊ノ用ニ供サレルヘキ工場及設備並港内ニ在ル軍艦ヲ包含セサルルモノトス。海軍指揮官ハ、相当ノ期間ヲ以テ警告ヲ与エタル後、地方官憲ニ於テ、全ク他ニ手段ナキトキハ、砲撃ニ依リ之ヲ破壊スルコトヲ得。

 此ノ場合ニ於テ、右指揮官ハ、砲撃ノ為ニ生スルコトアルヘキ故意ニ出テサル損害ニ付、何等責任ヲ負ウコトナシ。

 軍事ノ必要上、即時ノ行動ヲ要スル為期間ヲ与フルコトヲ得サル場合ト、攻守セラレサル都市ノ砲撃ニ関スル禁止ニ付イテハ、第一項ノ場合ト同一ナルヘク、且指揮官ハ、砲撃ノ為右都市ニ来スルヘキ不便ヲ成スルヘクスクナカラシム為一切ノ相当手段ヲスルヘシ。

第三条[徴発]

攻守セラシメル港、都市、村落、住宅又ハ建物ハ、地方官憲ノ附近ニアル海軍ノ目前ノ需要ヲ充ス為必要ナル糧料又は軍需品ノ徴発ヲ正式ノ催告ニヨリ命セラレタルニ拘ラス之ニ応スルコトヲ拒ミタルトキハ、明示ノ催告ヲ為シタル後之ヲ砲撃スルコトヲ得。
右徴発ハ、地方ノ資力ニ相応スルモノタルヘシ。徴発ハ、必ス該海軍指揮官ノ許可ヲ得テ之ヲ為スヘク、且之レニ大シテハ成ルヘク即金ニシテ支払ヒ、然ラセレハ領収書ヲ以テ之ヲ証明スヘシ。

第四条[取立金]

 攻守セラシメル港、都市、村落、在住ハ建物ハ、取立金ヲ支払ハサルヲ理由トシテ之ヲ砲撃スルコトヲ得ス。

出典 「ベーシック条約集」 第2版 東信堂


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