第一章 適用範囲、種類及び標識
第一条[航空機の定義]
空戦法規は、すべての航空機に対し、それが空気より軽いか思いかを問わず、又は水上に浮かぶことができるかどうかにかかわらず、これを適用する。
第二条[公の航空機]
次にあげるものは、公航空気とみなす。
(イ) 軍用航空機
(ロ) 公務に専用される非軍事用航空機
他のすべての航空機は、私的航空機とみなす。
第三条[軍用航空機]
軍用航空機は、その国籍及び軍事的性質を示す外部標識を掲げなければならない。
第四条[税関ようと警察用の非軍用航空機]
税関用又は警察用に使用される非軍事用航空機は、その公務に占用される事実を証明する書類を提携しなければならない。右の航空機は、その国籍及び軍用でない公の資格を示す外部標識を掲げなければならない。
第五条[その他の非軍用航空機]
税関用又は警察用に使用される非軍用航空機は戦時においては私航空機と同一の外部標識を掲げ、且つ、この規則の適用に関しては、私航空機と同様に取り扱われなければならない。
第六条
第三条及び第四条に規定されていない航空機であって私航空機とみなされるものは、その本国における現行規則が定めるところにより書類を携帯し、外部標識を掲げなければならない。その組織は、その国籍及び資格を示すことが必要であ
る。
第七条[外部標識]
前諸条で定める外部標識は、航空中変更することができないように固着されなければならない。右の標識は、なるべく、大きく、且つ、上方、下方及び各側から見ることができるものでなければならない。
第八条[外部標識の通告]
各国の現行規則により定められた外部標識は、すみやかに他のすべての国に通告しなければならない。
外部標識を定める規則の平時における変更は、その施行前に、たのすべての国に通告しなければならない。
開戦の際又は戦争中における右の規則の変更は、各国においてなるべくすみやかに且つ遅くとも自国の戦闘部隊に通知するときまで、たのすべての国に通知しなければならない。
第九条[軍用航空機への変更]
交戦国の非軍事用航空機はそれが公のものであるか私のものであるかを問わず、軍用航空機に変更することができる。但し、右の変更はその航空機が属する交戦国が属する交戦国の管轄内で行い、公海で行うことができない。
第一〇条[国籍]
航空機は、一個より多くの国籍を有することができない。
第二章 一般原則
第一一条[空中通過、着水]
交戦国であるか中立国であるか問わず、すべての国の管轄外においては、すべての航空機は、航空通過及び着水の完全自由を有する。
第一二条[戦時における進入]
戦時においては、交戦国であるか中立国であるかを問わず、すべての国は、その管轄内における航空機の進入、移動又は滞在を禁止し、又は制限することができる。
第三章 交戦者
第一三条[交戦権]
交戦権は、軍用航空機に限り行使することができる。
第一四条[軍用航空機の要件]
軍用航空機は、国の軍務に関し正式に任命されるか、又は軍役に編入された者の指揮の下に置かれ、その乗員は、軍人であ ることが必要である。
第一五条[乗員の記章]
軍用航空機の乗員は、その航空機から離れた場合において遠方から認識することができる性質を有する固着の特殊記章を帯びなければならない。
第一六条[非軍用航空機の敵対行為の禁止]
交戦国の軍用機以外の航空機は、形式のいかんを問わず、敵対行為に従事することができない。
「敵対行為」いうごは、公戦者が直接使用するための軍事情報を公空中において伝達することを含む。
私的航機は、戦時その本国の管轄意外においては、武装を有することができない。
第一七条[赤十字条約の原則の適用]
一九〇六年のジュネーブ条約及びこの条約を海戦に適用する条約(一九〇七年の第一〇条約)中に定められた原則は、空戦及び救護航空機に適用する。交戦国の指揮官が救護航空に対して行う監督についても、同じとする。
一九〇六年のジュネーブ条約によって、衛生上の移動機関に許された保護及び特権 を享受するためには、救護航空機は、通常の識別標識の外、赤十字の特別記章を掲げることが必要であ
る。
第四章 敵対行為
第一八条[爆弾の使用]
航空機により又は航空機に対すし、えい尾弾、焼い性又は爆弾製の投射物をしようすることは禁止しない。
この規定は、一八六八年のs年とピータースブルク宣言の当事国及びその他の国に対し、しとしく適用する。
第一九条[虚偽の外部標識の禁止]
虚偽の外部標識のを使用することは、禁止する。
第二〇条[落下傘の使用]
航空機がその行動の自由を失った場合、機上にあった者が落下傘で避難しようとと試みるときは、その下降中攻撃されることがあ ってはならない。
第二一条[宣伝のための航空機の使用]
宣伝流布の目的で航空機を使用するとことは、不法な戦争手段として取り扱われることがあ ってはならない。
右の航空機の乗員は、前記の行為をした理由により、その捕虜としての権利を奪われることがない。
第二二条[非戦闘員当に対する爆発の禁止]
普通人民若を威嚇し、軍事的性質を有しない私有財産を破壊し若しくはき損し、又は非戦闘員を損傷することを目的とする空中爆発は禁止する。
第二三条[徴発と取立金のための爆発]
現物の徴発又は取立金の支払いを規制することを目的とする空中爆発は、禁止する。
第二四条[爆撃の目的]
1 空中爆発は、軍事的目標、すなわち、その破壊はき損が明らかに軍事的利益を交戦者に与えるような目標に対して行われた場合に限り、適法となる。
2 右の爆発は、もっぱら次の目標、すなわち軍隊、軍事工作物、軍事建設物又は明らかに軍需品の製造に従事する工場であ って重要で、公知の中枢を構成するもの、軍事上の目的に使用される交通線又は運輸線に対して行われ場合に限り、適法とする。
3 陸上軍隊の作戦行動の直近地域でない都市、町村、住宅又は建物爆発は、禁止する。第二項に掲げた目標が普通人民に対して無差別の爆発をなすのでなければ爆撃することができない位置にあ
る場合には、航空機は、爆撃を避止することが必要である。
4 陸上軍隊の作戦行動の直近地域においては、都市、町村、住宅又は建物の爆撃は、兵力の集中が重大であ って、爆撃により普通人民に与える危険を考慮してもなお爆撃を正当とするのに充分であ
ると推定する理由がある場合に限り、適法とする。
5 交戦国は、その仕官又は軍隊がこの条の規定に違反したことによって生じた身体又は財産に対する損害につき、賠償金を支払う責任があ る。
第二五条[爆撃から保護される建物等] (略)
第二六条[保護地帯に関する特別規則]
第二七条[乗員の間ちょう行為の定義]
第二八条[航空後の間ちょう行為]
第二九条[間ちょう行為の処罰]
第五章 敵国及び中立国の航空機並びにその乗員に対する軍の権力
第六章 中立国に対する交戦者に対する中立者の義務
第七章 臨機検索、捕獲及び没収
第八章 定義
第六一条[[軍]の定義]
「軍事」、「軍用」等における「軍」という語は、この規則を通じて、すべての兵力の種類、すなわち、陸上軍隊、海上軍隊及び航空軍隊に関する規定に関するものと解釈しなければならない。
第六二条[敵対行為に従事する乗員]
この規則に特別の規定がある場合及びこの規則に特別の規定がある場合及びこの規則の第七章又は国際諸条約において海上法及びその手続きが適用されなければならないことを示す場合を除く外は、敵対行為に従事する航空機の乗員は、国際法の慣例並びに関係国が加盟した宣言及び条約に基づいて陸上軍隊に適用される戦時法規及び中立法規に従わなければならない。
出典 「ベーシック条約集第2版」 東信堂