University of Minnesota Human Rights Center


市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書 (自由権規約第一選択議定書)(抄),

この議定書の締約国は、
市民的的及び政治的権利に関する規約(以下「規約」という。)の目的を達成し及び規約の規定を実施するためには、規約第四部の規定に基づいて設置される人権委員会(以下「委員会」という。)が、規約に規定するいずれかの権利の侵害の犠牲者であると主張する個人からの通報をこの議定書に定めるところによつて受理しかつ検討し得るようにすることが適当であると考えて、次のとおり協定した

第1条
この議定書の締約国となる規約の締約国は、規約に規定するいずれかの権利の当該締約国による侵害の犠牲者であると主張する当該締約国の管轄の下にある個人からの通報を委員会が受理しかつ検討する権限を有することを認める。委員会は、この議定書の締約国でない規約の締約国についての通報を受理してはならない
第2条
前条の規定に従うことを条件として、個人は、規約に規定する個人のいずれかの権利が侵害されたと主張する場合において、利用し得るすべての国内的な救済措置を尽したときは、検討のため、書面による通報を委員会に提出することができる。
第3条
委員会は、この議定書に基づく通報のうち、匿名のもの又は通報を提出する権利を濫用しており若しくは規約の規定に両立しないと認めるものは受理することができないと判断する。
第4条
1 前条の規定に従うことを条件として、委員会は、この議定書に基づいて提出されたすべての通報につき、規約の規定に違反していると申し立てられたこの議定書の締約国の注意を喚起する。
2 注意を受けた締約国は、六箇月以内に、事態及び、自国がとり得た救済措置がある場合には、その救済措置について説明する文書その他の文書を委員会に提出する。
第5条
1 委員会は、当該個人及び関係締約国により提供された書面によるすべての情報に照らして、この議定書により受理した通報について検討する。
2 委員会は、次のことが確認されない限り、個人からのいかなる通報についても検討しない。
(a) 同一の事案が国際的な調査又は解決のための他の手続により検討されていないこと。
(b) 当該個人が利用し得るすべての国内的な救済措置を尽したこと。ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合は、この限りでない。
3 委員会は、この議定書により通報を検討する場合には、非公開の会合を開催する。
4 委員会は、関係締約国及び当該個人に委員会の意見を送付する。
第6条
委員会は、規約第四十五条の規定に基づく年次報告中にこの議定書に基づく自己の活動の概要を含める。
第7条
この議定書の規定は、千九百六十年十二月十四日に国際連合総会によつて採択された植民地及びその人民への独立の付与のための宣言に関する決議第千五百十四号(XV)の目的が達成されるまでの間は、国際連合憲章並びに国際連合及び専門機関において作成された他の国際条約及び国際文書によつて植民地の人民に付与された請願の権利を何ら制限するものではない。
第8条
1 この議定書は、規約に署名したすべての国による署名のために開放しておく。
2 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国によつて批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
3 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国による加入のために開放しておく。
4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによつて行う。
5 国際連合事務総長は、この議定書に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書又は各加入書の寄託を通報する。
第9条
1 規約の効力発生を条件として、この議定書は、十番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。
2 この議定書は、十番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。
第10条
この議定書は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家のすべての地域について適用する。
第11条
1 この議定書のいずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、直ちに、この議定書の締約国に対し、改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び投票のための締約国会議の開催についての賛否を同事務総長に通告するよう要請する。締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によつて採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。
2 改正は、国際連合総会が承認し、かつ、この議定書の締約国の三分の二以上の多数がそれぞれの国の憲法上の手続に従つて受諾したときに、効力を生ずる。
3 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、改正前のこの議定書の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。
第12条
1 いずれの締約国も、国際連合事務総長にあてた書面による通告により、いつでもこの議定書を廃棄することができる。廃棄は、国際連合事務総長がその通告を受領した日の後三箇月で効力を生ずる。
2 廃棄は、その効力発生前に第二条の規定に基づいて提出された通報につきこの議定書の規定を引き続き適用することを妨げるものではない。
第13条
第八条5の規定により行われる通報にかかわらず、国際連合事務総長は、規約第四十八条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。
(a) 第八条の規定による署名、批准及び加入
(b) 第九条の規定に基づきこの議定書が効力を生ずる日及び第十一条の規定により改正が効力を生ずる日
(c) 前条の規定による廃棄
第14条
1 この議定書は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。
2 国際連合事務総長は、この議定書の認証謄本を規約第四十八条に規定するすべての国に送付する。


ホーム || 条約 || 検索サイト || リンク