◆第1条 この条約においては、次の用語が定義されている。
1、障害(ディスアビリティ)
「障害」とは、永続的であれ一時的であれ、身体的、精神的・知的、感覚的損傷(インペアメント)であ
って、日常生活の不可欠な活動一つ、もしくは一つ以上を行う能力を制限するもの、経済・社会的環境によってもたられうる、もしくは、悪化させられうるものをいう。
2、障害のある人に対する差別
a) 「障害のある人に対する差別」とは現在であれ、過去であれ、障害に基づく全ての区別、排除または制限、障害の経歴、以前の障害からもたらされた状態、もしくは障害の認識であ
って、障害のある人が自らの人権と基本的自由を認識し、享受し、又は行使することを害し、又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。
b) 障害のある人の社会統合、個人的発達促進のために締結国が採用する区別、優遇は差別とならない。ただし、区別、優遇がそれ自体で、障害のあ
る人の平等への権利を制限せず、障害のある個人がそのような区別、優遇を受け入れるよう、強制されないことを条件とする。締結国の国内法で、本人の福利のために必要かつ適切な時、あ
る人が法的に無能力者であると宣言されうる場合、そのような宣言は差別ではない。
◆第2条
この条約の目的は障害のある人に対するあらゆる形態の差別を防止、撤廃し、障害のあ
る人の社会への完全統合を促進することである。
◆第3条 この条約の目的を達成するため、締結国は次を約束する。
1、法的、社会的、教育的、労働に関する、もしくはその他の措置を講じ、障害のあ
る人に対する差別を撤廃し、障害のある人の社会への完全統合を促進するために次を行う。しかし、以下に限られるわけではない。
a) 政府機関及び、又は民間機関が商品、サービス、施設、プログラム及び雇用、交通、通信、住宅、レクリエーション、教育、スポーツ、法の執行及び司法、及び政治及び行政活動などの活動を提供する、もしくは入手可能にする面での差別を徐々に撤廃し、統合を促進するための措置。
b) 新規の建築物、乗り物及び各国内で建築及び製造される施設が障害のある人の移動、通信及びアクセスを促進することを確保する措置。
c) 可能な限り、アクセス及び障害のある人の使用を促進する建築、移動及び通信面での障壁を撤廃する措置。
d) この条約及びこの分野の国内法を適用する責任ある人がそうするための訓練を受けることを確保するための措置。
2、次の分野での優先順位に応じた取り組みを行う。
a) 予防可能なあらゆる形態の障害の予防。
b) 自立の最適レベル及び障害のある人の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を確保するための、早期発見・介入、治療、リハビリテーション、教育、職業の訓練、総合的サービスの提供。
c) 人が対等な存在として生きる権利を危うくする、偏見、画一的な見方、及び他の態度の撤廃、障害のあ
る人への敬意、障害のある人との共存の促進を目的とする啓発キャンペーンを通じた社会の意識の向上。
◆第4条
この条約の目的を達成するために、締結国は次を約束する。
1、障害のある人に対する差別を防止し、撤廃するために、お互いに協力する。
2、効果的な協力を次の分野で行う。
a) 障害の予防、及び障害のある人の治療、リハビリテーション及び統合に関する学術的及び技術的研究。
b) 平等な状態での、障害のある人の自立、自活及び社会への全体的統合を促進するための手段、資源の開発。
◆第5条
1、各国の国内法と整合性のある範囲内で、締結国は障害のある人の組織の代表、この分野で活動する非政府組織の代表、又はそのような組織がない場合、障害のあ
る人の、この条約を実施するための措置及び政策の開発、実施及び評価への参加を促進する。
2、締結国は効果的なコミュニケーションの経路を創造し、障害のある人と共に活動している官民の組織に、障害のあ る人への差別を撤廃するために達成されるかもしれない規範的及び法的進歩が伝えられるようにする。
◆第6条
1、この条約でなされた約束をフォローアップするために、各締結国によって指名された一名ずつの代表から構成される、障害のあ
る人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する委員会が設置される。
2、(略)
3、第1回会合において、締結国は委員会に対して発出され、審査及び評価のため、機構の事務総長に対して、報告書を提出することを引き受ける。それ以後、報告書は4年に一度提出されるものとする。
(以下略)
出典 http://www.akashi.co.jp/menue/rensai/syougai_3.htm (長瀬試訳) 部分的に翻訳
原文は英語サイトを参照 http://hrlibrary.law.umn.edu/instree/disabilitytreaty.html