第三四条(裁判所の機関)
裁判所は、次の機関で構成される。
(a) 統括部
(b) 上訴部、第一審部及び予審部
(c) 検察局
(d) 書記局
第三五条(裁判官の職務)
1 すべての裁判官は、裁判所の常勤裁判官として選出され、人気の開始から常勤で勤務可能でなければならない。
2 統括部を構成する裁判官は、選出後直ちに常勤で勤務する。
3 統括部は、裁判所の業務量を基にして、またその構成員と協議して、統括部を構成する裁判官以外の裁判官がどの程度常勤で勤務する必要があるかを、随時決定することができる。そのような配置は第四〇条の規定を害するものではない。
4 常勤で勤務することを要求されない裁判官に対する財政的手配は、第四九条の規定に従って行う。
第三六条(裁判官の資格、指名及び選挙)
1 2の規定に従うことを条件として、裁判所には一八名の裁判官を置く。
2(a) 統括部は、裁判所を代表して、必要かつ適切と考える理由を提示して、1に指定する裁判官の人数の増員を提案することができる。書記は、そのような提案をすべての締約国に速やかに伝達しなければならない。
(b) そのような提案は、第一一二条に従って召集される締約国令議の令合において検討される。その提案は、締約国令議の構成員の三分の二の票により採択されたものとみなされ、締約国令議が定めるときに効力を生じる。
(c)(ⅰ) 裁判官の増員の提案が(b)の規定に基づき採択されたならば、増員される裁判官の選挙は、3から8の規定及び第三七条2の規定に従って、締約国令議の次の令期で行う。
(ⅱ) 裁判官の増員の提案が(b)及び(c)(ⅰ)の規定に従って採択され効力を生じたならば、統括部は、裁判所の業務量がそれを正当化する場合には、後にいつでも裁判官の増減を提案することができる。但し、裁判官数は1に指定した人数よりも減員してはならない。その提案は、(a)及び(b)に定める手続に従って扱われる。その提案が採択された場合には、裁判官の人数は、定数に達するまで裁判官の任期終了を待って段階的に減員する。
3(a) 裁判官は、徳望が高く、公正かつ誠実であり、それぞれの国で最高の司法官に任命されるのに必要な資格を有する者のうちから選ばれる。
(b) 裁判官選挙のすべての候補者は、次を有するものとする。
(ⅰ) 刑法及び刑事訴訟法についての一般に認められた能力、並びに裁判官、検察官、弁護士として若しくは他の類似の資格での刑事手続に関する必要な関連経験、又は
(ⅱ) 国際人道法及び人権法のような国際法の関連分野において一般に認められた能力、並びに裁判所の司法業務に関する専門的な法的資格での広範な経験
(c) 裁判官選挙のすべての候補者は、裁判所の使用言語の少なくとも一つについて卓越した知識を有し、かつ堪能でなければならない。
4(a) 裁判官選挙のための候補者の指名は、この規程のいずれの締約国も行うことができ、次のいずれかの手続により行われる。
(ⅰ) 当該締約国において最高の司法官に任ぜられる候補者を指名するための手続、又は
(ⅱ) 国際司法裁判所規程に基づき国際司法裁判所の裁判官の候補者を指名するために定められた手続
指名には、候補者が3の規定の要件を如何に満たすかを詳細に記した説明書を添付しなければならない。
(b) 各締約国は、いずれの選挙についても一名の候補者を推薦することができる。候補者は必ずしも当該締約国の国民である必要はないが、いかなる場合にも締約国の国民でなければならない。
(c) 締約国令議は、適当な場合には、指名に関する、指名に関する諮問委員令を設置することを決定することができる。その場合には、当該委員令の構成員及び権限は、締約国令議により定められる。
5 選挙のために、二つの候補者名簿が作成される。
名簿Aは3(b)(ⅰ)の規定において定められた資格を有する候補者名を含む。
名簿Bは3(b)(ⅱ)の規定において定められた資格を有する候補者名を含む。
両方の名簿の要件を満たす十分な資格を有する候補者は、いずれの名簿に名前の記載を受けるかを選択することができる。第一回の選挙においては、少なくとも九名の裁判官が名簿Aから選出され、少なくとも五名の裁判官が名簿Bから選出される。その後の選挙は、二つの名簿で資格を有する裁判官が等しい割合を裁判所で維持するように実施する。
6(a) 裁判官は、第一一二条に基づき選挙の目的のために召集される締約国令議の令合において、秘密投票によって選出される。7の規定に従うことを条件として、票の最多数、及び出席しかつ投票する締約国の三分の二の多数を得た一八名の候補者を、裁判官に選出された者とする。
(b) 第一回投票において十分な数の裁判官が選出されなかった場合には、残りの席が満たされるまで、(a)に定める手続に従って続けて投票が行われる。
7 いずれの裁判官二名も、同一国の国民であってはならない。裁判所の構成員の地位について、二以上の国の国民とみなされうる者は、その者が市民的及び政治的権利を通常行使する国の国民とする。
8(a) 締約国は、裁判官の選出に当たって、裁判所の構成員の中に次の者を含める必要性を考慮しなければならない。
(ⅰ) 世界の主要な法体系が代表されること。
(ⅱ) 地理的に衡平に代表されること。及び、
(ⅲ) 女性及び男性の裁判官が公平に代表されること。
(b) 締約国は、裁判官の中に特定の事項(女性及び児童に対する暴力を含むが、これに限定されるものではない。)似関する法的専門知識を有する裁判官を含める必要性を考慮しなければならない。
9(a) (b)の規定に従うことを条件として、裁判官九年間職務につき、(c)及び第三七条2の規定に従うことを条件として、再選されることはできない。
(b) 第一回の選挙においては、選出された裁判官の内抽選により選定された三分の一は、三年間勤務に就く。選出された裁判官の内抽選により選定された他の三分の一は、六年間職務につく。残りの裁判官は九年間職務につくものとする。
(c) (b)の規定に基づき三年間職務に就くように選定された裁判官は、一任期につき再選されることができる。
10 9の規定に関わらず、第三九条に従って第一審裁判部又は上訴裁判部に任命された裁判官は、当該裁判部において既に審理が開始されたいずれかの公判又は上訴を終了させるまで引続き職務に就くものとする。
第三七条(空席)
1 空席が生じた場合には、第三六条に従って空席を補充するために選挙が行われる。
2 空席を補充するために選出された裁判官は、前任者の残任期間の間勤務し、残任期間が三年以下の場合には、第三六条に基づいて一任期につき再選されることができる。
第三八条(統括部)
1 裁判所長及び第一裁判所次長並びに第二裁判所次長は、裁判官の絶対多数によって選出される。これらの者の任期はそれぞれ、三年間又はこれらの者の裁判官としての任期の終了までの、いずれか早く終了する時期までとする。これらの者は、一回限り再選されることができる。
2 第一裁判所次長は、裁判所長が不在であるか又は除斥された場合に、裁判所長に代わって行動する。第二裁判所次長は、裁判所及び第一裁判所次長の双方が不在であるか又は除斥された場合に、裁判所長に代わって行動する。
3 裁判所長は、第一裁判所次長及び第二裁判所次長とともに統括部を構成する。統括部は、次のことに責任を有する。
(a)裁判所(検察局をのぞく。)の適正な運営、及び
(b)この規程に従って裁判所に与えられたその他の職務
4 3(a)の規定に基づく責任を果たすに当たって、統括部は、検察官と共通の関心事であるすべての事項について協調し、協力を求めなければならない。
第三九条(裁判部)
1 裁判所は、裁判官の選挙の後できる限り速やかに、第三四条(b)に定められた部を組織できする。上訴部は、裁判所長及び他の四名の裁判官で構成し、第一審部は六名以上の裁判官で、また、予審部は六名以上の裁判官で構成する。裁判官の部への配属は、各部が遂行する職務の性質並びに裁判所に選出された裁判官の資格及び経験に基づき、各部が刑法及び刑事訴訟法並びに国際法に関する専門知識を適当な割合で含むように行われなければならない。第一審部及び予審部は、主として刑事裁判の経験を有する裁判官で構成する。
2(a) 裁判所の司法上の職務は、各部の中で裁判部により行われる。
(b)(ⅰ) 上訴裁判部は、上訴部のすべての裁判官で構成する。
(ⅱ) 第一審裁判部の職務は、第一審部に属する三名の裁判官により行われる。
(ⅲ) 予審裁判部の職務は、この規程並びに手続及び証拠に関する規則に従って、予審部に属する三名又は一名の裁判官により行われる。
(c)この項の何ものも、裁判所の業務量の効率的な運営のために必要とされる場合には、一以上の第一審裁判部又は予審裁判部が同時に設置されることを妨げるものではない。
3(a) 第一審裁判部及び予審部に配置された裁判官は、当該部において三年の期間勤務し、その後は当該部において既に審理が開始されたいずれかの事件が完結するまで勤務する。
(b) 上訴部に配属された裁判官は、当該部においてのみ勤務する。本条のいかなる規定も統括部が裁判所の業務量の効率的な運営のために必要と考える場合に、第一審部の裁判官を予審部に、又は予審部の裁判官を第一審部に一時的に所属させることを妨げるものではない。但し、いかなる状況においても、ある事件の予審段階に参加した裁判官が当該事件を審理する第一審裁判部に出廷してはならないことを条件とする。
第四〇条(裁判官の独立)
1 裁判官は、職務を遂行するにあたって独立しなければならない。
2 裁判官は、その司法上の職務に介入し又はその独立への信頼に影響を与えるおそれのあるいかなる活動にも従事してはならない。
3 裁判所の所在地において常勤することを必要とされている裁判官は、職業的性質をもつ他のいかなる職業にも従事してはならない。
4 2及び3の規程の適用に関するいかなる問題も、裁判官の絶対多数により決定される。そのような問題が個別の裁判官に関わる場合は、当該裁判官はその決定に参加してはならない。
第四一条(裁判官の回避及び除斥)
1 統括部は、裁判官の要請に応じて、手続及び証拠に関する規則に従って当該裁判官にこの規定に基づく職務の遂行を免除することができる。
2(a) 裁判官は、いずれかの理由に基づきその者の公平性が合理的に疑われうるいかなる事件にも参加してはならない。裁判官は、特に、当該裁判官が裁判所に係属中の当該事件に、又は捜査若しくは訴追されている者に関わる国内レ⺽ルの関連刑事事件の、いずれかの資格で以前に関与したことがある場合には、この項に従って当該事件から徐斥される。裁判官は、手続及び証拠に関する規則に定められるその他の理由によっても事件から徐斥される。
(b) 検察官又は捜査若しくは訴追されているものは、この項に基づき裁判官の徐斥を要請することができる。
(c) 裁判官の徐斥に関するいかなる問題も、裁判官の絶対多数で決定される。忌避を申立てられている裁判官は、この問題について自己の意見を述べる権利を有するが、決定に参加してはならない。
第四二条(検察局)
1 検察局は、裁判所の別個の機関として独立して行動する。検察局は、裁判所の管轄に属する犯罪の付託及びそのような犯罪に関するいずれかの詳細な情報を受理し、それらを調査し、捜査及び訴追を行なう責任を有する。検察局の構成員は、外部からの指示を求め又はそれに従って行動してはならない。
2 検察局は、検察官が主宰する。検察官は、検察局の管理及び運営(職員、設備及びその他の資源を含む。)について完全な権限を有する。検察官は、一又は二以上の副検察官の援助を得る。副検察官は、この規程のもとで検察官に要求される行動のいずれかを行う権利を有する。検察官及び副検察官は、異なる国籍の者でなければならない。検察官及び副検察官は、常勤で勤務する。
3 検察官及び副検察官は、徳望が高く、かつ刑事事件の訴追又は裁判において高い能力と広範な実務経験を有する者でなければならない。検察官及び副検察官は、裁判所の使用言語のうち少なくとも一つに卓越した知識を有し、かつ堪能でなければならない。
4 検察官は、締約国令議の構成員の絶対多数によって秘密投票により選出される。副検察官は、検察官により提出された候補者名簿から同様の方法で選出される。検察官は、副検察官の各席をうめるため三名の候補者を選出する。選挙の時にそれより短い任期が決定されない限り、検察官及び副検察官の任期は九年とし、再選されることはできない。
5 検察官または副検察官のいずれも、検察の職務に影響を与えるおそれのあるいかなる活動にも従事してはならない。検察官及び副検察官は、職業的性質を持つ他のいかなる職業にも従事してはならない。
6 統括部は、検察官又は副検察官の要請に応じて、その者に特定の事件において行動することを免除することができる。
7 検察官または副検察官のいずれも、いずれかの理由に基づきその者の公正性が合理的に疑われるいかなる事件にも参加してはならない。検察官及び副検察官は、特に、裁判所に係属中の事件又は捜査若しくは訴追されている者に関わる国内レ⺽ルの関連事件に、いずれかの資格で以前に関与したことがある場合には、この項に従って当該事件から徐斥される。
8 検察官または副検察官の徐斥に関するいかなる問題も、上訴裁判部で決定される。
(a) 捜査又は訴追されている者は、何時でも本条に掲げる理由に基づき、検察官及び副検察官の徐斥を要請することができる。
(b) 検察官又は副検察官は、適当な場合には、この問題について自己の意見を述べる権利を有する。
9 検察官は、特定の事項(性的暴力及び児童に対する暴力を含む。)について専門的な法知識を有する顧問を任命しなければならない。
第四三条(書記局)
1 書記局は、第四二条に従った検察官の職務及び権限を害しない限り、裁判所の運営及び役務提供の非司法的な方面について責任を有する。
2 書記局は初期が主宰し、書記は裁判所の行政職員の長である。書記は裁判所長の権威の下にその職務を遂行する。
3 書記及び副書記は、徳望が高く、かつ、高い能力を有し、裁判所の使用言語の少なくとも一つに卓越した知識を有し、かつ堪能でなければならない。
4 裁判官は、締約国令議の勧告を考慮して、秘密投票により、絶対多数によって書記を選挙する。裁判官は、必要が生じた場合及び書記の勧告があった場合は、同様の方法で副書記を選挙する。
5 書記の任期は、五年とし、一回に限り再選されることができる。書記は、常勤で勤務する。副書記の任期は五年又は裁判官の絶対多数により決定されることのあるそれより短い期間とする。副書記は、副書記に必要に応じて勤務するように要請された場合に選挙されることができる。
6 書記は、書記局の中に被害者及び証人部門を設置する。この部門は、検察局と協議して、承認、出廷する被害者及びそのような証人の証言により危険にさらされるその他に者に対し、保護措置及び安全準備、助言並びにその他の適当な援助を与える。この部門には、精神的外傷(性的暴力の犯罪に関連する精神的外傷を含む。)に関する専門的知識を有する職員を含めなければならない。
第四四条(職員)
1 検察官及び書記は、検察局及び書記局に必要とされる資格を有する職員を任命する。検察官の場合は、この任命には捜査員の任命を含めなければならない。
2 職員の雇用にあたっては、検察官及び書記は、その職員が最高水準の能力、力量及び誠実さを有することを確保しなければならず、その際、第三六条8に定める基準に必要な変更を加えて考慮を払わなければならない。
3 書記は、統括部及び検察官と合意の上、裁判所の職員の任命、報酬及び解雇に関する条件を含む職員規則を提案する。職員規則は、締約国令議により承認されなければならない。
4 裁判所は、例外的な場合には、裁判所のいずれかの機関の業務を補助するために、締約国、政府間機関又は非政府間機関により提供される無料の要員の専門知識を利用することができる。検察官は、検察局のためにそのような申し出を受けることができる。このような無料の要員は、締約国令議により制定される指針に従って利用される。
第四五条(厳粛な宣誓)
裁判官、検察官、副検察官、書記及び副書記は、この規定に基づく各々の任務につく前に、公開の法廷において、公正かつ誠実にその職務を行うことを各々厳粛に宣誓しなければならない。
第四六条(罷免)
1 裁判官、検察官、副検察官、書記または副書記は、次の場合には、2の規定に従ってその旨の決定が下された時に罷免される。
(a) 手続及び証拠に関する規則に定められる重大な職権濫用又はこの規定に基づく義務の重大な違反を行ったことが判明した場合、又は
(b) この規定により要求される職務を果たすことができない場合
2 1の規定に基づく裁判官、検察官または副検察官の罷免に関する決定は、締約国令議により、秘密投票によって次のように行う。
(a) 裁判官の場合には、他の裁判官の三分の二の多数によって採択された勧告に基づいて、締約国の三分のニの多数によって
(b) 検察官の場合には、締約国の絶対多数によって
(c) 副検察官の場合には、検察官の勧告に基づいて、締約国の絶対多数によって
3 書記または副書記の罷免に関する決定は、裁判官の絶対多数によって行われる。
4 その者の行動又はこの規程により要求される職務を行う能力が本条に基づき疑義を申立てられている裁判官、検察官、副検察官、書記または副書記は、手続及び証拠に関する規則に従って、証拠を提出し、証拠を受理し、及び陳述を行う十分な機令を与えられる。問題となっている者は、それ以外の形でこの問題の検討に参加してはならない。
第四七条(弾劾措置)
第四六条1に掲げたものより軽微な性質の職権濫用を行った裁判官、検察官、書記または副書記は、手続及び証拠に関する規則に従って弾劾措置を受ける。
第四八条(特権及び免除)
1 裁判所は、各締約国の領域において裁判所の目的の達成のために必要な特権及び免除を享受する。
2 裁判官、検察官、副検察官及び書記は、裁判所の業務に従事している時及びその業務について、外交使節団の長に与えられるものと同じ特権及び免除を享受し、又任期の終了後も、公的資格で行った口頭又は書面による言動に関して、すべての種類の法的手続からの免除を引き続き与えられる。
3 服飾、検察局の職員及び書記局の職員は、裁判所の特権及び免除に関する協定に従って、職務の遂行に必要な特権及び免除並びに便宜を享受する。
4 弁護士、鑑定人、証人又は裁判所に出廷を求められた他のいかなる者も、裁判所の特権並びに免除に関する協定に従って、裁判所の適正な機能のために必要な待遇を与えられる。
5(a) 裁判官又は検察官の特権及び免除は、裁判官の絶対多数により放棄することができる。
(b) 書記の特権及び免除は、統括部が放棄することができる。
(c) 副検察官及び検察局の職員の特権及び免除は、検察官が放棄することができる。
(d) 副書記及び書記局の職員の特権及び免除は、書記が放棄することができる。
第四九条(俸給、手当て及び経費)
裁判官、検察官、副検察官、書記及び副書記は、締約国令議によって決定される俸給、手当て及び経費を受ける。これらの俸給及び手当ては、任期中は減額してはならない。
第五〇条(公用語及び使用言語)
1 裁判所の公用語は、アラビア後、中国語、英語、⺹ランス語、ロシア語及びス⺾イン語とする。裁判所の判決並びに基本的な問題を解決する裁判所のその他の決定は、公用語で発表する。統括部は、手続及び証拠に関する規則により定められた基準に従って、本項の適用上、いかなる決定が基本的な問題を解決する決定とみなされるかを決定する。
2 裁判所の使用言語は、英語及び⺹ランス語とする。手続及び証拠に関する規則は、他の公用語を使用しうる場合を決定する。
3 裁判所は、手続のいずれかの当事者又は手続に参加することを認められた国の要請により、そのような当事者又は国が英語又は⺹ランス語以外の言語を使用することを許可する。但し、裁判所が当該許可が適切に正当化されうると考える場合に限る。
第五一条(手続及び証拠に関する規則)
1 手続及び証拠に関する規則は、締約国令議の構成員の三分の二の多数によって採択された時に効力を生じる。
2 次の者は、手続及び証拠に関する規則の改正を提案することができる。
(a) 締約国、
(b) 裁判官の絶対多数、又は、
(c) 検察官
当該規則の改正は、締約国令議の構成員の三分の二の多数によって採択された時に、効力を生じる。
3 手続及び証拠に関する規則の採択後で、裁判所における特定の状況を規則が規定していない緊急の場合には、裁判官は三分の二の多数で暫定規則を作成することができる。暫定規則は、締約国令議の次の通常令期又は特別令期において採択、改正又は否認されるまで適用される。
4 手続及び証拠に関する規則、当該規則の改正及びいかなる暫定規則も、この規程と両立するものでなければならない。手続及び証拠に関する規則の改正並びに暫定規則は、捜査若しくは訴追されている者又は有罪判決を受けた者の不利になるように遡及的に適用してはならない。
5 この規程と手続及び証拠に関する規則との間に抵触が生じる場合には、規程が優先する。
第五二条(裁判所規則)
1 裁判官は、この規程並びに手続及び証拠に関する規則に従って、絶対多数により裁判所の通常の運営に必要な裁判所規則を採択する。
2 検察官及び書記は、規則の作成及びその改正にあたって協議を受ける。
3 規則及びその改正は、裁判官により別段の決定が行われない限り、採択された時に効力を生じる。規則及びその改正は、採択後直ちに意見を求めるために締約国に送付される。六ヶ月以内に締約国の過半数から意義申立てが行われなかった場合には、当該規則及びその改正は有効とする。