この議定書の署名国であ
る欧州審議会加盟国は、
一九五〇年一一月四日にローマで署名された人権及び基本的自由の保護のための条約(以下「条約」という。)による若干の権 利及び自由を集団的に実施するために一層の措置をとることを決意して、
次のとおり協定した。
第一条(外国人の追放についてのお手続的保障)
1 合法的に国の領域内に居住する外国人は、法律に基づいて行われた決定による場合を除くほか、追放されてはならず、かつ、次のこと認められる。
(a) 自己の追放に反対する理由を提示すること。
(b) 自己の事案が審査されること、かつ、
(c) このために制限がある機関またはその機関が指名する者に対して代理人が出頭すること。
2 外国人は、追放が公の秩序のために必要な場合又は国の安全を理由とする場合には、この条1の(a)、(b)及び(c)に基づく権 利を行使する以前にも追放することができる。
第二条(刑事事件における上告の権利)
1 裁判所により有罪の判決を受けたすべての者は、その判決又は刑罰を上級の裁判所によって再審理される権 利を有する。この権利の行使は、それを行使できる事由を含め、法律によって規律される。
2 この権利については、法律が定める軽徴な性質の犯罪に関する例外、又は、当該の者が最大級の裁判所によって第一審の審理を受けた場合若しくは無罪の決定に対する上訴の結果有罪判決を受けた場合の例外を設けることができる。
第三条(誤審による有罪判決に対する補償)
確定判決によって有罪と決定された場合において、その後に、新たな事実又は新しく発見された事実により誤審のあ ったことが決定的に立証されたことを理由としてその有罪判決が破棄され又は赦免が行われたときは、その有罪判決の決定結果に服した者は、関係国の法律又は慣行に基づいて補償を受ける。ただし、その知られなかった事実が明らかにされなかったことの全部又は一部がその者の責めに帰するものがすことが証明される場合は、この限りではない。
第四条(一事不審理)
1 何人も、その国の法律及び刑事手続きに基づいて既に確定的に無罪又は有罪の判決を受けた行為について、同一国の管轄下で刑事の訴訟手続において、再び裁判され処罰されることはない。
2 1の規定は、新しい事実若しくは新しく発見された事実の証拠がある場合、又は、以前の訴訟手続に当該事案の結果に影響を与えるような根本的瑕疵があ る場合には、関係国の法律及び刑事手続に基づいて事実審理を再開することを妨げるものではない。
3 この条の規定からのいかなる離脱も、条約第15条に基づいて行ってはならない。
第五条(配偶者の平等)
配偶者は、婚姻中尾よに婚姻の解消の際に、配偶者相互間及びその児童との関係において、婚姻に係る私法的性質の権 利及び責任の平等を享受する。この条は、国が児童の利益のために必要な措置をとることを妨げるものではない。
第六条(領域的適用) (略)
第七条(条約との関係) (略)
第八条(署名及び批准) (略)
第九条(効力発生) (略)
第一〇条(寄託者の機能) (略)
出典 「ベーシック条約集」 第2版 東信堂